今週の相談

すり抜けは違反じゃないの?

堀田さん
バス通勤していますが、赤信号で停車しているといつもバスと車の間をバイクがすり抜けて先頭に立っています。このすり抜けは、道路交通法に違反する行為ではないのでしょうか?交差点に引いてあるラインが白の場合と黄色の場合では違って来るのでしょうか?
安藤先生の答え

直接取り締まる法律はないが…

車と車の間を抜けていく、いわゆる「すり抜け走行」。

バイク乗りにとっては半ば当たり前の走り方ですが、バイクに乗らない人やすり抜けられる側の4輪ドライバーにとっては、気になる行為でしょう。

このすり抜け走行。安全面ではリスクの高い走り方なのですが、
実は道路交通法には直接禁止する条文がありません。

かと言って、大手を振ってやれるかというとそうでもありません。
かなりグレーゾーンな行為なのです。

質問者さんにはピンと来ないかもしれませんが、
ライダーの方々はすり抜けするときの光景を思い浮かべてみてください。

流れてはいるもののペースの遅い郊外の幹線道路や高速道路。

ウインカーを出しながら左右への進路変更を繰り返しながら車列を縫って走る ことが多いのではないでしょうか?

ウインカーを出して車線変更すればいいような気がしますが、車線変更の際には約3秒前に合図を出すように定められています。

縫って走るときに3秒間ウインカーを出してから車線変更することはまず無いでしょう。
これだけで違反です。

次に、一般道での信号待ちのシーンを考えてみましょう。

質問者さんが指摘されているように、通れる幅があれば、
ほとんどのバイクは道路の左端あるいは車列の間を通って前に出るでしょう。

追い越しには
1)他の車を追い越すときは、その右側を通行しなければならない
2)停止車両の横を通るときは安全な間隔を保つか、
安全な間隔が保てないときは徐行する
3)交差点とその手前30m以内は追い越し禁止
という法律が絡んできます。

ところが、そもそも追い越しは「車が進路を変えて、
進行中の前の車の前方に出る」と定義されています。

ですから、停止している車に対しては適用されません。

停止している車列の脇をすり抜ける場合は、たいてい徐行レベルまでスピードを落としているでしょうし、追い越しでなく車線変更ならば交差点の手前30mでも問題ありません。

道路の左端を抜けて行くように進路変更をせずに前車を抜く行為は、
追い越しではなく「追い抜き」になります。

現在の道路交通法では、
この追い抜きに関して明確な規定がないのが実情なのです。


「早いから」だけですり抜けているわけではない

それでは、一般道の信号待ちでのすり抜けは法的に問題ないのでしょうか?

そんなことはありません。 実際に取り締まられた例がたくさんあります。

取り締まられる要因としては、
1)黄色線を越えての車線変更
2)合図不履行
3)指定通行区分違反
4)停止線オーバー
などが挙げられます。

車列の間を縫って前に出るとき、車線を区分するラインをまたぐことが間々ありますが、そのラインが黄色の場合は、一瞬たりともラインを超えて左右の車線に移るとすべて違反になります。

ゆっくりとはいえ、
縫って走る中で約3秒間ウインカーを出してから車線を移ることは不可能に近いでしょう。

右左折専用レーンから、交差点の手前で直進レーンに移るのは問題ありませんが、停止線を越えてから移ると違反になります。

信号待ちの車列の前に出るということは、当然停止線を越えて止まるケースが多々あるでしょう。これも違反に問われます。

実際には、現場の警察官がどこまで厳格に適用するかによるのですが、一般道の信号待ちにおけるすり抜けにはこれだけの違反要素が絡んでくるのは確かです。

それだけのリスクがあるというのに、
なぜライダー連中はすり抜けて前に出るのか?

渋滞をすり抜けることで早く目的地に到着できることは、
バイクならではの特徴であり、特権でもあります。

これがいちばんの理由であることは確かでしょう。

その一方で、前に出ることで発進時の雑踏に巻き込まれるのを回避し、
事故のリスクを減らす意味合いもあります。

真夏に渋滞に巻き込まれると、
周囲の車の熱気や排気ガスで気持ちが悪くなることもあります。

それから逃げることもひとつの目的です。

4輪のドライバーには、バイクのすり抜けにはそういった意味合いがあることも分かってもらい、ライダーも、車線変更時や前に入らせてもらうときには軽く頭を下げるといった配慮をすれば、お互いにもっと気持ち良く走れると思うのですが、いかがでしょう。

今回の処方箋
直接取り締まる法律はない
関連する違反で取り締まられる可能性が高い
すり抜けには「身を守る」一面もある
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コメント

結局、追い越されて楽しい人なんていないんですから、
自分は「あくまでも車」という存在に徹して、
4輪と同じように、追い越し、追い抜きしないに限るんですが、
暑さと排気と疲労を考えたら、それもまた無理な話。

抜かすことに対して、忍者のようにスマートにスムーズに、
そして抜かされる相手への心遣いが出来るライダーになるしかないですね。

2009年06月15日 22:23 | nns

すり抜けは常識の範囲内では可とするのが、結局のところ最も現実的ではないでしょうか。

話は逸れますが、最初にコメントをした二人(walkさん、285さん)に関しては、言葉遣い等から常識の欠如を感じます。公の場で発言をする以上、最低限のルールを守るべきです。それは道路交通社会でもネットの世界でも同じです。すり抜けはまさに常識の問題です。常識のない方に常識を論じる資格はありません。今後は最低限のルールに則って発言していただきたいと思います。

2009年06月12日 11:35 | p

すり抜けが悪いことなのならきちんと禁止して取り締まって欲しいです。私は原付に乗ってますが、怖くてすり抜けしたくないのに、まるで「さっさと横通って前に行けよ」的な目で四輪車や後ろから来たバイクに思われてるような気がしてなりません。今の現状だと、バイクなのにすり抜けずに止まってるのはおかしい、邪魔だから早くどけ、っていうような交通社会の風潮を強く感じます。
だから周りに合わせてすり抜けする人も居るんじゃないでしょうか。たまに四輪車に乗ると信号待ちであっても、躊躇無く狭い隙間もすり抜けていくバイクが恐ろしく感じられますし、黒なら黒と、グレーゾーン的な扱いは一刻も早くやめてはっきりして欲しいですね。

2009年05月10日 19:28 | sany50

すり抜けはバイクのメリットであるし、バイクの分車が減って渋滞も減っているのも事実なので、安全と四輪への配慮があるなら認めたいのですが・・・
どうしても容認できないのが、自動車の車線変更中でも減速せずに車線間をすり抜けていくバイクが多いことです。これが一定数以上いると車線変更もできないわけです。
移動先の車線の車が譲っているのに移動できないことも多いです。そこは車線ではないことを認識してせめて譲り合いをお願いしたいところです。それがないからすり抜けバイクは憎まれるのだと思います。

2009年01月20日 15:33 | aki

>ところが、そもそも追い越しは「車が進路を変えて、
進行中の前の車の前方に出る」と定義されています。
>ですから、停止している車に対しては適用されません。

道路交通法ではどこにも進行中とは書いてませんよ。
第2条二十一  「追越し」 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

となっています。また信号や渋滞で止まった車は進行中のスピードが一時的に0になっただけで、進行中であることには変わりありませんが。

>停止している車列の脇をすり抜ける場合は、たいてい徐行レベルまでスピードを落としているでしょうし、追い越しでなく車線変更ならば交差点の手前30mでも問題ありません。

それすらできていない「すり抜け」が多いから、問題になっているのですが・・

>現在の道路交通法では、
この追い抜きに関して明確な規定がないのが実情なのです。

「追い抜き」と思っているけど大半は厳密に言うと「追い越し」に該当しますよ。

「同一車線追い抜き」は存在しません。途中で必ず「車間距離不保持」と見なせる状態になります。車間距離分離れていれば端を走っていようが、同一車線を走っているとしか見えません。

止まるとオーバーヒートするのはそのバイクの欠陥であり、そのようなバイクには乗るべきではありません。

バイク側の理屈には自己の正当化しか感じられません。

>その一方で、前に出ることで発進時の雑踏に巻き込まれるのを回避し、
事故のリスクを減らす意味合いもあります。

そのために「すり抜け」というリスクを冒すのは矛盾しています。避難できる空間を意識しつつ、後続車が止まるのをミラーで確認し、危なかったら安全空間に逃げ込めば良いのです。

2008年11月17日 14:31 | 通りすがり

そもそも日本の道路行政自体が四輪車中心で考えられていて、二輪車(や自転車や歩行者など)のことをあんまりよく考えて無いなと思う訳です。

二輪車は小さいから四輪車が渋滞していようがその間をスイスイ走れる訳で、それが気に食わないからと言って禁止するのは無駄な足かせを二輪車側に強いることになります。

いや、四輪車だって例えば他の車両が何らかの理由で動けないとして、その横をすり抜けられればすり抜けて前に出るでしょう。その時、動けない車両が「俺の横をすり抜けるな」と言っても納得できないのではないでしょうか?

交通を考える時は、基準を誰にするのかで結論は変わってきます。四輪車を中心にした考えを基準にして規制を作ってしまうのは、実は他の歩行者や自転車や自動二輪車などに負担や犠牲を強いることにもなりかねません。

道路と言う公共財を使う権利は、四輪車だろうが二輪車だろうが変わらない筈です。もちろん危険なことはダメです。それは誰にとっても同じでしょう。

となると、安全に配慮しながらのすり抜けを禁止することは無理があることが分かると思います。

ちなみに私は二輪四輪両方乗ります。危険でなければ停止車両の横をすり抜けて行くのは気になりません。ただし、車間を縫うように走るジグザグ走行やゼブラゾーンや反対車線等を使って前に割り込むのは反対です(これらは違反行為なので当然ですけどね)。

2008年10月16日 09:59 | ビリー・ヘリントン

私は車もバイクも乗ります。
ほとんどの車は水冷エンジンで、水温が上がるとファンが回って
水温を下げようとする機能が付いています。
バイクには水冷と空冷があり、
渋滞に巻き込まれると、空冷ではオーバーヒートしてしまう可能性があります。

私も以前バイクに乗っていて、
水冷でしたが高速の渋滞でオーバーヒートしそうになり、
已む無くすり抜け走行をした事があります。
バイクに付いているファンは車とは比べ物にならないくらい小さいのです。
ですので、走っていないとオーバーヒートになる可能性が高いのです。

バイクにはそういった事情もあると理解いただければ、
ドライバーも気分を害さなくて済むと思うのですが、どうでしょうか。

2008年10月15日 10:22 | alk

一般道で信号待ちの際すり抜けていくのはまだ理解できるのですが、高速道路で渋滞中、車線の間をすり抜けていくのは、明確に取り締まってもらいたいと思います。4輪が車線変更をすることもありますし、隣の車線状況だけでなくバイクにも気を配らなければならずストレスです。特に夜間は後続のライトに紛れてしまい、目立たず非常に危険だと思います。渋滞解消後、車が密集して80〜100kmで走行中も、すり抜けていくバイクを見かけます。これは当然速度超過でしょうけど、取り締まっているのを見たことがありません。ことにバイクの場合は、事故になったら自分だけでなく、周りの複数の運転者の人生を巻き込むことになるのだという自覚を持って運転してもらいたいものです。

2008年10月15日 09:24 | とろぶー

先月、原付で道路を走ってると、
前方の信号が赤になったので停止しました。
偶然、前に警邏中のパトカーが停止したので、
パトカーの助手席に近寄り、警察官に尋ねてみました。

その時の警察官が言うには、信号待ちで停止している車の
左側を通るのは良いらしいです。
しかし、前に止まっている車の左側が空いてないからと、
同一車線内の左右を行ったり来たりは駄目とのことでした。

これは原付なので、他の二輪車はどうなるのか分かりませんが。

ただ、都道府県警察、警察官個人でも基準が違うかもしれないので、
警察庁の通達が気になるところです。

2008年10月14日 23:54 | 先月・・・

全く同感です。
きちんとした「バイク」が信号で先頭まで抜けていって、青信号になったら車よりも圧倒的に速い加速で消えてゆく分には、「どうぞどうぞ」という気持ちになりますが、「原動機付き"自転車"」の分際で車の脇をすり抜けて、車の進路を塞ぐ形で停車し、青になってもタラタラフラフラといつまでも邪魔をし、車線の左端を走ると言うことすら守れない、しかもそこがセンターライン黄線だったりするともう・・・
いわゆるビッグスクーターも、信号待ちでドロドロと下痢便サウンドで車内に雑音を持ち込むのと、大抵二人乗りでフラフラしてて邪魔なので困ります。

そもそも、きちんとした「バイク」の人は大抵譲ってもらったら礼をするくらいのマナーは持っている人が多いですけど、その他はもう、あきれるくらい・・・

2008年10月14日 22:34 | walk

4輪乗りが一番不愉快なのは・・・
「すり抜け」は百歩譲りましょう、信号が青に変わってダッシュしてくれれば問題無いのですが
トロトロ走るバイクです{轢いてやろか}の気分になります(−−〆)

相手の気持ちも考えてすり抜けして下さいネ。

2008年10月14日 21:34 | 285

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安藤佳正

安藤佳正

プロフィール

元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士

月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す るパーツや工具、ケミカルにも精通。 パーソナルHP「and-power.com」を運営。