今週の相談

冷却水の交換方法は?

マサキさん スズキ スカイウェイブ400タイプS
そろそろ冷却水の交換時期にきているのですが、冷却水の交換方法がいまいちよくわかりません。特にビッグスクーターはパーツが奥まったところにあり、容易に手が出せません。冷却水の交換方法を教えてください。
安藤先生の答え

2〜3年ごとの交換が基本

水冷エンジンの冷却に使われている水は真水ではなく、
ロングライフクーラント(以下LLC)を水道水で希釈したものが使われています。

LLCは、0℃以下になっても凍らず、水アカやサビの発生を抑える性質を持った、 水冷エンジンの必須アイテム。

一般的な緑のほか、赤、青といった液色がありますが、 色の違いによる性能差はありません。

その交換時期ですが、実は明確な基準がありません。

というのも、あるポイントを過ぎたら突然冷えなくなったり、 凍りはじめたり、防錆効果が無くなったりすることがありません。

要するに、見た目やフィーリングで限界点が判断できないのです。

しかし、各性能が徐々に低下していくのは確かですし、冷却水路内をいちいち点検清掃するのは大変ですから、トラブルが発生する前の予防的な整備として、2〜3年ごとの交換が推奨されています。

個人的にはクルマで5年以上使用していますが、
特に不都合は発生していません。

ただし、ノントラブルを保証するものではありません。
この辺は自己責任でお願いします。


交換に必要なポイントは3つ

では、冷却水の交換方法に話を進めましょう。
以下が基本的な手順です。

ドレンボルトを外す
 ↓
ラジエターキャップを外す
 ↓
ドレンから冷却水が抜ける
 ↓
リザーバータンクの冷却水を抜く
 ↓
ドレンボルトを締める
 ↓
新しい冷却水を入れる
 ↓
エア抜きをする
 ↓
リザーバータンクに新しい冷却水を入れる

作業時に手を付けなければならないポイントは3つ。
ドレンボルト、ラジエターキャップ、リザーバータンクです。

作業そのものはそれほど難しくありませんが、質問者さんも悩まれているように、車種によってこの3つのパーツの配置がさまざまで、簡単には見つけられないケースが少なくありません。

例えばラジエターキャップの位置ですが、現行フォルツアでは、
シート下ラゲッジスペースの中央右寄りのパネル下にあります。

先代スカイウェイブ250(写真)では、キーシリンダー部のパネルを外すと、 その下にラジエターキャップとリザーバータンクがあります。

この2車は実際にバラしたことがあるので知っていますが、質問の「スカイウェイブ400タイプS」を含めて、他のスクーターではどこにあるか私もわかりません。


そんなときに各パーツの配置を見極める手がかりになるのが、
冷却水のパイプです。

どんなスクーターでも、
プラグを着脱するためのサービスホールが必ず設けられています。

そこからエンジンの周囲を覗くと、
直径3cm前後の黒いゴムパイプが必ず見つかるはずです。

それが冷却水の通るパイプ。

これをたどっていくとラジエター、サーモスタット、ラジエターキャップ、 ウォーターポンプに必ずつながっています。

写真は、前出の現行フォルツァのエンジン部分のストリップアップです。


中央にあるのがエンジン。その左下がラジエター。
エンジン上に置かれた冷却水パイプの接続されているパーツがサーモスタット。
その少し上にあるのがラジエターキャップです。

リザーバータンクはラジエターの奥。
ウォーターポンプはエンジンの向こう側に取り付けられています。

リザーバータンクは、ラジエターキャップのすぐ下から伸びているパイプをたどると
必ず見つかります。

こうして各パーツの配置が把握できたら、前出の手順に従って作業を進めていくわけですが、ウォーターポンプ部に冷却水を抜くドレンボルトが無い車種があります。


その場合は、ウォーターポンプに接続されている冷却水のゴムパイプを抜いて排出します。 (写真はスズキの400ccモデルでの冷却水排出シーンです。)

ケースバイケースですが、ひとつ前の写真の「フォルツァ」のようにラジエターが低い位置にあるモデルは、ラジエター下側のパイプを抜いて排出してもいいでしょう。

古い冷却水が排出できたら、ドレンボルトや外したパイプをしっかりと取り付け、
ラジエターキャップ部から新しい冷却水を注入します。

LLCの希釈率は、お住まいの地域の年間最低気温によります。

LLCのボトルに凍結温度と希釈率の割合が記載されていますが、
1:1(50%)でまず問題ないでしょう。

口元いっぱいまで冷却水を入れたら、エンジンを始動してエア抜きを行います。

ゴムホースを押したり車体を傾けたりしながら、冷却水路内のエアを抜き、 水位が下がったら注ぎ足しつつ、同じことを繰り返します。

数回繰り返して水位が下がらなくなったら、リザーバータンクのアッパーラインまで冷却水を入れ、 ラジエターキャップを締めて作業は完了。

何度か走行した後、エンジンが冷えているときにリザーバータンクの液量を確認し、
液面が下がっていたらアッパーラインまで注ぎ足しておきましょう。

今回の処方箋
2〜3年ごとの交換が基本
車種によって関連パーツの配置が異なる
冷却パイプをたどって各パーツを見つける
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安藤佳正

安藤佳正

プロフィール

元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士

月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す るパーツや工具、ケミカルにも精通。 パーソナルHP「and-power.com」を運営。