エンジンオイルの選び方は?
できればバイク用のオイルを使いましょう
バイクのエンジンは、
・単位排気量あたりの馬力が高い
・常用回転数が高い
・冷却性能にあまり余裕がない
・ミッションを一緒に潤滑している(一部のモデルを除く)
・滑ってはいけないクラッチを潤滑している
という特徴があります。
近年のクルマ用オイルには省燃費性が求められるようになり、
摩擦抵抗を減らすために、特別な減摩剤を配合しているケースもあります。
そういったオイルをバイクに使用すると、
クラッチが滑ってしまう可能性があります。
また、オイルには「リン」という成分が含まれており、
金属同士が強く当たる部分の磨耗を和らげる働きをしています。
しかし、排気ガスを浄化するキャタライザーに悪影響を及ぼす可能性があるため、 クルマ用のオイルはできるだけ「リン」を減らす方向で作られています。
そのため、バイクに使用すると、
ミッションの潤滑不良を起こす可能性があります。

省燃費性を重視したクルマ用のオイルには、 パッケージに「GF-1、GF-2、GF-3」という表記があります。
この表記のあるオイルは、
バイクに使わないようにしましょう。
それ以外ならば、
バイクに使ってもまず問題ありません。
しかし、前述のように常用回転数や熱の問題もありますから、
できればバイク用のオイルを使いたいところです。
バイク用オイルには、JASO規格の「MA、MA1、MA2、MB」という表記があります。
この4種類に性能面での決定的な差はありませんが、
「MB」は「MA」よりも省燃費性に優れています。
「MA1」は、「MA」の摩擦特性の範囲内で粘度を「低め」にしたもの。
「MA2」は、「MA」の摩擦特性の範囲内で粘度を「高め」にしたものです。
ただし、「MA1」や「MA2」の表示は必ずしも使われるわけではありません。

基本的には、
マニュアルミッション車 → MA
オートマチックミッション車 → MB
もし「MA1」と「MA2」が選べるなら、
小中排気量車 → MA1
大排気量車 → MA2
と考えていいでしょう。
特性や用途に合わせて成分と粘度を決める
JASO規格に適合したオイルを選ぶとして、
残る選択肢は成分と粘度です。
成分とは、オイルの70〜80%を占めるベースオイルが、
何から作られているかということ。
重油を精製してベースオイルとした「鉱物油」。
天然ガスやエチレンを分子ごとに分解し、
潤滑油として有用な成分だけを組み直してベースオイルとした「化学合成油」。
上記2種類をブレンドした「半化学合成油(部分合成油)」の3タイプあります。
現在のバイクがオイルに要求する性能は、
ベーシックな「鉱物油」でクリアすることができます。
しかし「化学合成油」は、
・低温時の流動性の良さ
・高温時の油膜保持性能の高さ
・燃焼に伴って発生する汚れを取り込む能力
・劣化しにくさ
など、すべての面で「鉱物油」を上回る性能を持っています。
デメリットと言えば、高価なことぐらいでしょう。
100km/hしか出ないバイクで100km/hで走り続けるのと、
200km/h出るバイクで100km/hで走るのとでは、
同じ100km/hでも余裕がまったく違います。
「鉱物油」と「化学合成油」の関係も同じ。
リッタークラスの高性能スーパースポーツも、
シンプルな空冷単気筒エンジン車も、
予算が許すならば「化学合成油」か「半化学合成油」の使用をお勧めします。
化学合成系オイルは、パッケージに必ずと言っていいほど「SYNTHETIC(シンセ ティック)」あるいは「SYNTHESIS(シンセシス)」の表記があるのでわかるで しょう。
オイルの価格はピンキリですが、およその目安として、
鉱物油 → 1,000円/L
半化学合成油 → 1,500〜2,000円/L
化学合成油 → 2,000〜2,500円/L
というところでしょうか。
次に粘度。
これは、低温時にどれくらいの流動性(=軟らかさ)を持っていて、
高温時にどれくらいの流動性(=固さ)を保てるかを数字にしたものです。

「10W-40」や「20W-50」といった表記がそれです。
メーカー指定の粘度は「10W-40」が一般的で、理論上はこの粘度で外気温マイナ ス25℃〜プラス30℃まで対応できることになっています。
つまり、1年を通して「10W-40」で快適に走れるわけです。
しかし、現実には必ずしもそうとは限りません。
例えば、夏場にリッターマシンで渋滞にハマるとシフト操作が硬くなることがあ りますが、粘度を「20W-50」あたりに上げると解消されることが少なくありません。
逆に250〜400ccクラスで冬場に「5W-40」あたりに粘度を下げると、朝一番の始 動性や暖機性が向上したり、スロットルレスポンスや燃費が向上するケースがあ ります。
オイルの交換サイクルを早めてまで、
季節に合わせて粘度を変更する必要はありません。
うまくタイミングが合い、前述のような症状が気になるのであれば、
粘度の違うオイルに替えて変化を楽しんでみてはいかがでしょう。
予算に余裕があるなら化学合成系オイルを選ぼう
粘度は10W-40を基本に小幅に動かして変化を楽しもう
トラックバックはまだありません。
- この記事に対するTrackBackのURL
コメントはまだありません。
元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士
月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す
るパーツや工具、ケミカルにも精通。
パーソナルHP「and-power.com」を運営。











※コメントは管理者の承認後に表示されます。