今週の相談

スクーターの駆動系を直すには?

diodioさん ホンダ ディオ
古いディオに乗っています。エンジンをかけるとアクセルを吹かさなくてもゆっくりと動きます。またエンジンをかけずに押して歩くと、駆動系から金属の擦れるような音がしてガクガクします。何が原因で、直すとしたらどれくらいの費用がかかるでのしょうか?
安藤先生の答え

クラッチスプリングの折損の可能性が高い

質問の内容から判断するに、
十中八九クラッチスプリングの折損が原因だと思われます。

まず、スクーターの駆動系の仕組みについて、
詳しく説明していきます。

スクーターには、オートバイのようなレバー操作で断続するクラッチが無く、
エンジン回転数に応じて自動的に断続される自動遠心クラッチが使われています。

スクーターのミッションは、
エンジンのクランクシャフトに直結されたドライブプーリーと、
後輪側のドリブンプーリーがあり、
この2つのプーリーがベルトでつながれています。

さらに、ドリブンプーリーにはクラッチシューが直結されており、
ギアを介してリアタイヤにつながれたクラッチハウジングと対になって、
動力の伝達を断続する働きをしています。


ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、
基本的な形はドラムブレーキと同じです。

円筒状のクラッチハウジングの中にクラッチシューが組み込まれていて、
クラッチシューが外周方向に開くことで、
クラッチハウジングの内側に密着させるようになっています。

ドラムブレーキは、ライダーがレバーを握る、
あるいはペダルを踏むことでブレーキシューを外周方向に開きます。

それに対し、スクーターのクラッチは、
遠心力を利用してクラッチシューを外周方向に開きます。


スクーターのクラッチシューは360度の円を2〜3分割し、
それぞれを小さなスプリングでつないだ構造になっています。

アクセルを開けてエンジン回転数が上がると、
それがドライブプーリーからドリブンプーリーへと伝わり、
そこに直結されたクラッチシューの回転速度も上がります。

するとクラッチシューに遠心力がかかり、
それぞれをつないでいるスプリングの強さに打ち勝って外周方向に開き、
後輪につながったクラッチハウジングの内側に接触し始めます。

さらにエンジン回転数が上がる(=遠心力が強くなる)と、
クラッチシューもさらに広がってクラッチハウジングに密着し、
動力を伝えられるというわけです。

自分での交換はちょっと厳しい

今回のdiodioさんの症状は、
上記のクラッチシュー同士をつないでいるスプリングのうち1〜2個が外れたか、
あるいは折れたときの典型的な症状です。

スプリングが働いていないため、アイドリングレベルの遠心力でもクラッチシュー が開いてハウジングに触れてしまったり、押し歩きのときにタレ下がってハウジ グに触れ、金属が擦れるような異音を発するわけです。

折損したスプリングを交換すれば直りますし、
交換作業自体も単純なものです。

しかし、クラッチシューにたどり着くまでに、
専用工具や大きなサイズの工具が必要になります。

ですので、自分で交換するのはちょっと厳しいものがあります。

ショップに依頼した場合、パーツ代は1個100〜200円のレベルですが、
交換工賃まで含めると5,000円+α。

ここまでバラすなら、もう少し予算を組んで、
クラッチシューの交換を考えてもいいでしょう。

その場合はパーツ代+工賃で、
1万円+αが目安になります。

今回の処方箋
クラッチスプリングが折損している可能性大
交換には相応の工具とノウハウが必要
ショップに頼むとコミコミ5,000円〜
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回答者
安藤佳正

安藤佳正

プロフィール

元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士

月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す るパーツや工具、ケミカルにも精通。 パーソナルHP「and-power.com」を運営。