今週の相談

標高の高い地域でエンジンが「息つく」のですが?

ピナレロさん ハーレーダビッドソン スポーツスターXL1200R
月に1〜2回程度しか乗らない老年ライダーです。ときどき高速走行した際、4速ぐらいからアクセルを開けるとエンジンが息つきして、スムーズに吹き上がってくれません。市街地走行では滅多に出ないのですが、標高の高い地域に行くとよく発生します。何が問題なのか、ご教授願います。
安藤先生の答え

「標高が高いと出る」がキーポイント

「エンジンが息つく」というのは、加速しようとアクセルを開けると一瞬引っかかるような症状が出てから加速し始めることを指します。

走行中にアクセルを開けた際に起こる、加速不良の一種です。

同じ加速不良の例で、アクセルを開けたときにプラグがカブッたような症状になって、なかなか吹け上がらなかったり、加速するどころか逆に回転が落ちてしまう場合があります。

前者は、アクセルを開けたときに混合気が薄い(吸入する空気に対するガソリンの量が少ない)ときに出る典型的な症状。

後者は、逆に混合気が濃いときに出る典型的な症状です。
※こちらは「息つく」とは呼びません

ただし、通常のノーマルエンジンでは、
そういった不具合が出るほど混合気の濃い・薄いは発生しません。

そこでポイントになるのが「標高の高い地域に行くとよく発生する」という点。

実は、トラブルのないノーマルエンジンで混合気の濃い・薄いが発生する唯一の要因が「標高」なんです。

標高が高くなると空気が薄くなることはご存知だと思いますが、空気が薄くなると一定量の空気中に含まれる酸素の量が少なくなります。

ガソリンと混ざってエンジンの中で爆発するのは、空気中の酸素だけです。

酸素量の少ない空気に同じだけのガソリンを混ぜれば、
当然、混合気は濃くなってしまうわけです。

最近のフューエルインジェクション車はその辺も自動補正するので、こういったことはまず起きませんが、キャブレター車では可能性があります。

ご質問のスポーツスターはキャブレター車で、症状も「息つき」というより、
カブッたように吹けない方ではないかと推察されるのですが、いかがでしょう?


セッティングを微調整する方法もあるが…

先にも触れたように、ノーマルのキャブレターはある程度の標高差までは対応できるようにセッティングされていますが、必ずしもすべての走行環境をカバーできるわけではありません。

現に、標高の高い林道を走る可能性のあるオフロード車には、
キャブレターに高度補正機構が組み込まれていたモデルが結構ありました。

また、通常は不具合の出ないレベルの標高でも、
個体差の範囲で質問のような症状が出てしまうことが十分考えられます。

質問者さんの使用状況を考えると、標高の高いエリアを走ることは稀なようですから、もし我慢できるレベルならばあえてイジらない方がいいと思います。

我慢できないのであれば、市街地での走行に支障が出ない範囲で、メインジェットやジェットニードル(ともにキャブレター内部の部品の名称)を、燃料供給を減らす方向にリセッティングしてみてはどうでしょう。

レース活動を行なっているショップならば、
キャブレターセッティングはお手の物。

ハーレーは1キャブレターですから、メインジェットを1段階絞る(1段階穴を小さくする)程度の作業で、再セッティングが不要ならば、5,000円程度で請け負ってくれると思います。

今回の処方箋
おそらくバイク側の異常ではない
空気が薄いエリアでは、加速不良が起きやすい
ショップで微調整してもらう方法もある
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回答者
安藤佳正

安藤佳正

プロフィール

元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士

月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す るパーツや工具、ケミカルにも精通。 パーソナルHP「and-power.com」を運営。