
バッテリー充電器の選び方は?



イザというときに持っていると便利
バッテリー充電器(バッテリーチャージャー)というのは、長期放置などによって放電が進んだ、いわゆる「あがったバッテリー」を充電して回復を図るものです。
それほど使用頻度の高いツールではないので、
個人で購入するにはちょっと抵抗があるでしょう。
しかし、充電器を持っていれば、
不意にバッテリーがあがってしまった時にも自宅で対処できます。
クラッチ付きのバイクなら押し掛けしてショップまで移動できますが、
構造上押し掛けができないスクーターでも大丈夫。
バッテリーの寿命を調べる際には満充電してから比重やコンディションの変化をチェックしますが、充電をショップに依頼すると、ダメかもしれないバッテリーに1,000〜2,000円の費用を支払わなければいけません。
充電器を持っていれば、そんな心配もなくなります。
いざというときに、持っていれば便利なのは間違いありませんね。
二輪車と密閉式への対応が大前提
バッテリーを充電する際に最も注意しなければならないのが、
バッテリーの容量と充電器の出力(充電)電流のバランスです。
バッテリーの容量に対して充電電流が大きすぎると、バッテリーに大きなダメージを与えたり、最悪の場合バッテリーが膨らんだり破裂する恐れがあります。
逆に充電電流が小さすぎると、危険性こそないものの充電完了までにえらく時間がかかってしまいます。
ところが、質問にもあるようにバッテリー充電器の仕様にはいろいろな項目があり、ある程度電気の知識がないと仕様書のどの項目が何を表しているのかわかりません。
しかし、実際に必要な項目はそう多くありません。
押さえておきたいポイントを説明していきましょう。
・出力電圧
対応するバッテリーの電圧のこと。
現在のバイクと乗用車のバッテリーはすべてDC12V(直流12ボルト)です。
充電器もほとんどがDC12V対応になっていますが、一応確認しましょう。
一部、トラック向けにDC24Vに対応した充電器もありますが、
スイッチでDC12Vに切り替えられるタイプなら問題ありません。
使用時に注意しましょう。
20年以上前の「50ccモデル」には、
DC6Vのバッテリーを使っている車両があります。
この充電にはDC6V対応の充電器が必要になりますが、
まず店頭には並んでいません。注意してください。
・適用バッテリー容量
対応するバッテリーの容量で、出力(充電)電流と連動しています。
バイクのバッテリー容量は「50ccクラス」で3Ah(アンペア・アワー)前後、
「250〜400ccクラス」で8〜10Ah、「リッタークラス」で12Ah前後。
質問にある「2,000ccクラスの乗用車」で30Ah前後となっています。
適用バッテリー容量がこれをカバーするように、
具体的には2〜40Ahあたりに設定されていることを確認しましょう。
特に注意したいのは小さい方の数字。
バイクのバッテリーに対応していない充電器は、
この数字が10Ahや21Ahから始まっているものがあるので注意してください。
・二輪車対応
適用バッテリー容量がバイクのサイズまでカバーしていることを、よりわかりやすいように「二輪車対応」と表記している充電器があります。
これが明記してあればバイクに安心して使えますが、大型バイクだけを対象としたタイプもありますから、原付ユーザーは念のため適用バッテリー容量の小さい方の数字を確認しましょう。
・密閉型バッテリー対応
現在のバイクのバッテリーはほとんどがMFタイプですが、
これはキャップの取り外しが不可能なことから密閉型バッテリーとも呼ばれています。
厳密には密閉されているわけではないのですが、かつての開放型バッテリーに比べて充電時に内部で発生したガスが抜けにくいので、より低い電流で充電する必要があります。
仕様書やパッケージに「密閉型対応」と明記されているものを必ず選んでください。
・その他の機能
充電器には、ある一定の範囲内のバッテリー容量に合わせて作られたシングルタイプと、切り替えスイッチによって幅広い容量のバッテリーに対応できるマルチタイプがあります。
マルチタイプが必ずしも高価なわけではないので、
できればこちらを選んだ方がいいでしょう。
充電状態はメーターやインジケーターランプで判断しますが、それを見て手動で電源スイッチを切るタイプと、充電が完了すると自動的にスイッチがオフになるタイプがあります。
これも、自動オフタイプの方が充電したまま放っておけるので便利です。
最後に価格です。
私の所有するバッテリー充電器(写真)のメーカー希望小売価格は1万6,800円となっていますが、5年ほど前に某大手カー用品ショップのWEBサイトで在庫限りの廃番品として販売されていたため、5,000円台で入手できました。
ちょっと検索してみたところ、同等の充電器が5,000〜6,000円。
高くても8,000円ぐらいで手に入るようです。
使用頻度を考えると安い買い物ではありませんが、
私の経験ではまず壊れることはなく、一般ユーザーレベルならばほぼ一生モノ。
耐用年数も加味すれば、
このくらいの価格であれば個人で購入してみてもいいのではないでしょうか。

密閉式バッテリー対応も確認
出力切り替えスイッチ付きがおすすめ


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元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士
月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す
るパーツや工具、ケミカルにも精通。
パーソナルHP「and-power.com」を運営。

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