今週の相談

クラッチを握らずにシフトチェンジしてもいい?

おっさんライダーさん スズキ GSX-R750
シフトアップするときにクラッチを握らず、回転数を合わせてシフトペダルだけでギアを上げていますが、問題あるでしょうか?運転が長時間になり左手が疲れた時には有効だと思うんですが、機械的には影響があるのでしょうか?
安藤先生の答え

レースでは常識のテクニック

クラッチレバーを使わずにシフトアップするテクニック。

俗に「ノンクラッチシフト」などと呼ばれますが、
特に珍しいテクニックではありません。

加速中のタイムロスを少しでも減らしたいレースでは、
ほぼ当たり前になっているテクニックです。

現に最近のロードレーサーでは、クラッチレバーを握らずにアクセルも開けたままでシフトアップできる、「オートシフター」の装備が常識になっています。

オートシフターでは、ペダル操作をセンサーで検知し一瞬点火をカットすることでシフトアップを可能にしています。

我々がノンクラッチシフトする際に使う「アクセルを一瞬戻す」行為が、
この点火カットに相当するわけです。


ミスるとミッションにダメージが…

話が少し前後しますが、
なぜクラッチを使わずにシフトアップできるのでしょうか?

ミッションは、エンジンからの駆動力が伝わって来るドライブシャフト(メインシャフト)と、
その力を後輪へと伝えるドリブンシャフト(カウンターシャ フト)から構成されています。

アクセルを開けて走行しているとき(=駆動力が伝わっているとき)は、ドライブシャフトとドリブンシャフトのギアがガッチリ噛み合っているため、シフ トペダルを操作しても動きません。

そこでアクセルを戻すと駆動力が発生しなくなるため、2つのギアの噛み合う力が弱まり、ペダルを操作してシフトアップできるようになるんです。

クラッチレバーを握るのは、エンジンのクランクシャフトとミッションのドライブシャフトの間で駆動力の伝達を確実にカットするだけの話で、原理として はノンクラッチシフトと変わりません。

ですから、アクセルオフとペダル操作を正しいタイミングで行えば、クラッチレバーを使わずにシフトアップしてもミッションにダメージを与えることはあ りません。

しかし、機械的なダメージを残すことなくシフトできるのは、
アクセルを戻した直後のほんの一瞬。

時間にすると1秒もありません。

急ぐあまりにペダル操作が中途半端になると、再びアクセルを開けて駆動力が伝わったときにギアが抜けて、ミッションに大きなダメージを残す可能性があ ります。

身構えるほど難しいテクニックではないのですがトラブルを招く可能性を秘めているので、まずは、アクセルを戻した瞬間にペダルを操作して、シフトアッ プできる感覚を覚えてください。

加速中にアクセルを一瞬開閉してシフトアップするのは、
その感覚を身につけてから行った方がいいでしょう。

なお、このノンクラッチシフトが使えるのは
シフトアップのときだけです。

シフトダウン時に使用すると、シフトした瞬間に大きなエンジンブレーキがかかり、ミッションを痛めるだけでなく、リアタイヤロックといった危険な状態 を招く可能性もあります。

絶対にやめましょう。

今回の処方箋
レースでは当たり前のテクニック
うまく操作すれば悪影響はない
シフトダウンには使えない
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回答者
安藤佳正

安藤佳正

プロフィール

元MFJロードレース国内A級 国家三級二輪整備士

月刊「オートバイ」を中心に20年以上のキャリアを持つバイクジャーナリスト。
特にメカニズムやメンテナンス、チューニングを得意分野とし、それに付随す るパーツや工具、ケミカルにも精通。 パーソナルHP「and-power.com」を運営。