5.水抜き剤って必要?

みかみ先生こんにちは。運転歴が5年にもなるのに、まだおっかなびっくりで運転している私の「?」について、教えてください。私は、1ヶ月に1〜2回給油するのですが、その時に必ずスタンドの人に、「水抜きをしたほうが良いですよ」と言われます。水抜きとは、給油タンクに水滴がつくことと言われましたが、どのくらいの水滴がついたら、水抜きをした方が良いのでしょうか、また、水抜きをしないと、車にどのような影響を及ぼすのでしょうか、教えてください。(今行っているスタンド以外で水抜きについて言われたことがないのですが)(やっこ)

みかみ先生からのお答え

水抜剤とは、燃料タンクの中に発生した水分を、燃料と一緒に燃焼させ、マフラーから外へ排出するための溶剤です。水は燃料にほとんど溶けませんから、燃料タンクの中に水が入ると、水は下に、燃料は上に、二つの層になります。この下にたまった水が、タンクや配管を腐食し悪影響があるから、水抜剤を入れようという事になっています。

はたして本当に水がたまるのか、これには2つの意見があります。

必要派:コップの中に冷たい水を入れると、ガラスが汗をかいたように水滴が付きます。燃料タンクの内側でも温度差によって水滴が付きます。梅雨の時が特に多く、一年で数十mlもたまります。

不要派:燃料タンクの中は揮発した燃料で満たされており、空気の量は、少量です。いくら温度差が、あっても、水滴ができることは考えられません。そして数十mlもたまれば、エンジンがかからないし水抜剤では処理できないため燃料タンクのドレンから、抜き取るしかないでしょう?

さて、どちらが本当なのでしょうか?私もガソリンスタンドに行くと、水抜き剤をすすめられる事が多いのですが、次のような理由からほとんど必要ないと思っています。

  • 日本車の性能が悪く燃料タンクの出来が悪かった30年前でも水抜剤はありませんでした。しかしタンクが錆びて穴があき、燃料がもれて引火、なんて話は聞いたことがありません。最近では、鉄製ではない錆びない素材のタンクも使用されています。
  • 燃料タンクからエンジンへの配管途中に、必ず燃料フィルターが付いています。このフィルターは、異物を取るだけでなく、燃料中の水分を取る役目も担っています。燃料の中の微量の水分は、ここで処理できるようになっているのです。
  • 水抜剤の成分は主にイソプロピルアルコールなどのアルコール系です。アルコールが燃料と水の仲立ちをし、水を燃料の中に溶かします。溶けた水は燃料フィルターを通りぬけてしまいます。燃料フィルターを通りぬけた水は、かえって配管やエンジンに悪影響を与えてしまいます。特にディーゼル車の場合は、自動車メーカーが水抜剤の使用を、公式に禁止しています。

燃料の中にも,水分は微量(ppm単位)ですが溶けています。また温度差によりタンク内に水分が入り込むことはありますが、微量です。その量は自動車を作るときの想定内であると言えるでしょう。世界の先端を走る日本の自動車メーカーは、当然水分対策を行っています。「水抜剤を入れなければ、重大なトラブルが発生する」と考える必要はないと思います。つまり、水抜き剤を入れる必要はほとんどないのです。

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