38.レギュラーとハイオク、どちらを入れる?

ガソリンスタンドでハイオクのガソリンをすすめられました。が、友人はハイオクのガソリンは、燃えカスが残り易く、多く燃焼する車向きと言います。スタンドからはスクーターでも入れている人はいますよ、との声。レギュラーでも問題ないのですが、排気量の小さな車がハイオクのガソリンを入れても大丈夫なのでしょうか?(右京)

みかみ先生からのお答え

ハイオクとレギュラーで悩んでおられる方は多いようです。 ガソリンに、粗悪とか優秀とかの性能はあるのでしょうか?

結論から言えば、レギュラー用の車にハイオクガソリンを入れても大丈夫です。しかしハイオクのほうが単純に高性能、とは言えません。ハイオク仕様の車にはご友人の言うとおり、燃えカスを残さないためにハイオクガソリンが必要ですが、レギュラー車にハイオクを入れても大きく性能が向上することはないのです。

日本のエンジンはとても性能が高く、メーカーのガソリンも、レギュラー・ハイオクを問わずとても優れています。さて、今回は日本のガソリンの何が優秀なのか、少し詳しく知っておきましょう。 メーカーは、ガソリンを作る時、どんなことに注意して作っているのでしょうか。

1:始動性能

冬は気温が低下しガソリンが気化しにくくなり始動性が悪くなります。 夏は気温が上昇しガソリンが気化しやすくなり、ガソリンと空気のバランスがくずれてしまいます。そのため冬と夏、地域によって、ガソリンの蒸気圧、気化成分を調節して出荷されています。季節や地域により4〜5種類を作り分けています。

2:加速性能

加速時は、全体の沸点(ガソリンに熱を加え、50%の量が蒸発するときの温度)の低いガソリンが優れた加速性を示します。この温度が高くなっているときにアクセルを強く踏むと、レスポンス不良となり「息つき」等の現象が出ます。

3:暖機性能

始動時のエンジンの暖まりやすさを暖機性といいます。ガソリンの全体の沸点が高いと暖機性が悪くなります。

4:ベーパーロックを起こさない

燃料パイプや燃料ポンプが、エンジンの熱で加熱されると、パイプやポンプの中でガソリンが蒸発して気泡となり、燃料が流れなくなります。ベーパーロックのおきやすい夏は、ガソリンの蒸気圧や蒸留性状を低くして出荷されています。

5:エンジンオイルを汚さない

ガソリンに重い蒸留成分が多いと、完全に燃焼せずオイルパンの中に入ります。エンジンオイルを希釈させ、オイルの性能を低下させるため、ガソリンに重い蒸留成分が多く入らないようにしています。

6:ガム状物質を出さない

ガソリンは時間がたつと、ガム状物質を生成することがあり、燃料フィルターやキャブレターを詰まらせます。これを防ぐため酸化防止剤を入れています。

7:燃料系統がさびない

燃料タンクに水が入ると燃料タンクやパイプが錆びることがあります。このため、ガソリンには防錆剤を添加しています。

8:ゴムやパッキンを痛めない

ガソリン中の芳香族成分が多すぎるとゴムやパッキンを損傷させ燃料漏れの原因となります。そのためガソリン中の芳香族成分は低くおさえられています。

9:排ガスがきれい

排気ガスは触媒マフラーでNOx、CO、HCを除去しますが、ガソリンは、「無鉛化」「硫黄分の低減」「ベンゼン含有量の低減」の対策が施されています。また、触媒マフラーの機能を低下させる「硫黄分」はJIS規格(100ppm以下)で規制され、大気汚染は大幅に改善されました。

10:ノッキングをしない

オクタン価が不足して発生するノッキングは、出力ロスのほか、オーバーヒートや焼け付きなどエンジンに悪影響を及ぼします。現在、ハイオクは、一部を除いてオクタン価は100レギュラーは90〜91のレベルが守られています。

ガソリンは、こんなに多くのことを考えて作られています。さらにハイオクガソリンでは…

11:吸気系や燃焼室を汚さない

吸気系統やエンジン内は、長時間使用しているとカーボンなどのデポジットが付着します。それを防止するため、ハイオクガソリンには「エンジン清浄剤」を添加しています。

レギュラー仕様のエンジンはハイオク専用の車と比べ、デポジットが出にくい構造ですので、基本的にはエンジン清浄剤は必要ありません。普通にレギュラーガソリンを入れていれば問題は起こりません。

日本のガソリンの性能は、世界のトップレベルです。レギュラー仕様にはレギュラーをハイオク仕様にはハイオクを、仕様にあったガソリンを入れておけば安心ですよ!

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