27.スタッドレスタイヤの特徴、寿命

タイヤについて教えてください。そろそろ冬でスタッドレスが活躍する季節ですが、年数のたったスタッドレスは役に立たないといわれます。どのくらいで役に立たなくなるのでしょうか?また、ほとんど凍らない街中の使用で冬場はノーマルタイヤと年数のたったスタッドレスではどちらが安全でしょうか?(那須駒)

みかみ先生からのお答え

通常のタイヤでは積雪した道や凍結した道を走ることはできません。タイヤが空回って横滑りし、制御不能になります。このような雪や氷の上でも走行できるのがスタッドレス(冬用タイヤ)です。

昔はタイヤの接地面に金属製のピンを埋め込んだ「スパイクタイヤ」が主流だったのですが、舗装路面を削ったアスファルトの粉塵が環境問題を引き起こし、約10年前に使用禁止になりました。このスパイクタイヤに替わって登場したのが、「スタッドレスタイヤ」です。

このスタッドレスタイヤは普通のタイヤとどう違うのでしょうか。

まず最大の特徴は溝が深く多いということが挙げられるでしょう。雪道を走るとタイヤの溝に雪が入り込みますが、タイヤが一回転する間に溝が歪み、詰まった雪が落ちるようにできています。 そしてタイヤのトレッド(地面に接地する部分)に「サイプ」と呼ばれる、無数の切れ目が入っているのも特徴です。このサイプが接地部分の抵抗を増し、駆動や制動の力を得ています。

またスタッドレスは手で触って分かるほど非常に柔らかいゴムでできています。 やわらかいゴムが伸縮したり変形することで、溝に入った雪がタイヤの回転で自動的に外れるのです。普通ゴムは低温になるほど硬くなりますが、硬いゴムではスタッドレスとして使えません。タイヤメーカーはしのぎを削りながら、低温でも硬化しにくいゴムを開発しているのです。

スタッドレスの性能は、溝の深さ、サイプ、ゴムのやわらかさで決まっているのです。

この特徴が雪道以外での走行時には悪影響を及ぼしてしまいます。

スタッドレスタイヤは通常のタイヤに比べてゴムが柔らかく、深い溝が入っているため、制動距離が伸び、カーブで外側に膨らみ、燃費も悪くなってしまうのです。

さらにゴムが柔らかいために消耗(減り方)も激しくなってしまいます。 雪道以外の路面状況では、年数を問わずノーマルタイヤの方が安全と言えるでしょう。

次にスタッドレスの寿命を考えてみましょう。

スタッドレスにはタイヤの使用限界を示す「スリップサイン」とは別に、もうひとつ「プラットホーム」があります。プラットホームは残り溝の約50 %の部分に設置された「スタッドレスとしての性能限界」を表すものです。溝が半分になればスタッドレスの性能は発揮しなくなるという事になります。

もう1つ、スタッドレスは「ゴムの劣化」に注意しなければいけません。タイヤのトレッド面が、ヒビ割れたり、硬化したりすると、本来の性能を発揮できません。スタッドレスのゴムは、やわらかいから性能を発揮できるのです。スタッドレスタイヤは、一般的に使用開始後3シーズンぐらいが限界だと言われています。

最後に、スタッドレスタイヤの性能は、過信しないようにしましょう。 雪道はスタッドレスを装着しているとしても非常に危険な状態です。スピードを落として、安全運転をお願いします。

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